第 3 章 ― 意識の構造を、知る
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あなたが人生で一番対話する相手は、誰か?
第2章では、「よく生きる」を、古今東西の思想から描き出してきた。
ソクラテス、ブッダ、生きる意味、常識からの自由、真理、幸せ、成功、縁起、ポジティブ心理学、使命感、世界の美しさ。
これらすべてを通り抜けて、WellGrowが大事にしたい姿勢が、ひとつ見えてきた。「よく生きる」ために、自分の意識を、自分で扱うこと。WellGrowは、ここを何より大事にしている。
では、その「意識」とは、どんな構造をしているのか。どこをどう扱えば、本当に、人生が変わっていくのか。
これに、解像度高く向き合っていくのが、第3章の役割である。
そして、その出発点として、最初に立てたい問いがある。それは、シンプルでありながら、ほとんど誰も真剣に考えたことのない問いである。
一日のうちで、あなたは誰と一番ことばを交わしているか
少し、考えてみてほしい。
朝起きてから、夜眠るまで。あなたが一番たくさんことばを交わしている相手は、誰だろうか。
家族だろうか。恋人や友人だろうか。職場の同僚だろうか。
実は、そのどれでもない。
答えは、自分自身である。
人は一日に数万回、自分と対話していると言われる。口に出さないだけで、頭の中では、絶えずことばが流れている。
「今日はだるいな」「あれをやらなきゃ」「どうせ無理だ」「あの人、ムカつく」「お腹すいた」
これらは全部、あなたが、あなた自身にかけていることばである。
家族との会話は、一日に数十回かもしれない。友人との会話は、週に数回かもしれない。だが、自分自身との会話は、起きている間ずっと続いている。
つまり、人生で一番たくさん向き合っている相手は、家族でも友人でもなく、自分自身なのである。
多くの人は、薄々気づいている
ここまで読んで、こう思った人もいるはずである。
「まあ、確かに自分と対話してるとは思うけど、それが何?」
そう、多くの人は、自分が自己対話をしていること自体には、薄々気づいている。完全に無自覚なわけではない。
けれども、そこから先に進めない。
その自己対話を、どうコントロールすればいいのか。どうすれば、よい自己対話にできるのか。どうすれば、自分にかけることばを、自分で選べるようになるのか。
ここを、誰も知らない。
知らないから、コントロールできない。コントロールできないから、ネガティブな自己対話が、毎日、垂れ流しのように流れ続けている。
「自分はダメだ」「どうせうまくいかない」「またやってしまった」「みんなに嫌われている気がする」
こうしたことばを、誰に言われたわけでもなく、自分で自分にかけ続けている。そして、そのことばが、感情を作り、行動を作り、人生を作っている。
これは、放っておいてよい問題ではない。
意識を扱う第一歩は、自己対話の存在に、しっかりと気づくこと
ここから、意識を扱う取り組みが始まる。
第一歩は、自分が毎日、自分自身と膨大に対話しているという事実に、しっかりと気づくことである。
「薄々気づいている」のと、「しっかり気づいている」のとは、大きな違いがある。
薄々気づいているレベルでは、自己対話は背景にある。意識の外で、流れっぱなしになっている。
しっかり気づくレベルになると、自己対話が手前に上がってくる。「あ、いま、自分にこういうことばをかけたな」と、気づけるようになる。
このシフトが、出発点である。
だが、気づくだけでは足りない
ここで、もうひとつ大事なことを言っておきたい。
自己対話の存在に気づくことは、第一歩でしかない。本当に大事なのは、その先である。
自己対話の質を高めること。これが、人生を変える本丸である。
私たちは、毎日、自分と対話している。それなのに、その対話をどう設計すればいいかを、知らない。よい自己対話とは何なのかを、知らない。どうすれば、自分にかけることばを、よい方向に変えていけるのかを、知らない。
そして、これを教えてくれる場が、どこにもない。
学校では教えてくれない。社会でも教えてくれない。親や友人も、教えてくれない。そもそも、自己対話を意識的に扱えている人が、ほとんどいないのだから、教えようがない。
これは、現代の大きな空白である。
WellGrowは、ここに大きな課題があると考えている
WellGrowが、なぜ「意識」を中心に据えているのか。なぜ、毎日の自己対話を、丁寧に扱おうとしているのか。
それは、この空白を埋めたいからである。
人生で一番たくさん向き合う相手なのに、その向き合い方を、誰も教えてくれない。ここに、最大の課題がある。そして、ここを変えれば、人生は構造的に変わっていく。
WellGrowは、ユーザー1人ひとりが、自分との対話の質を、少しずつ高めていけるように設計されている。答えを与えるのではなく、よい問いを返す。ことばを押し付けるのではなく、自分のことばを引き出す。
これを毎日、少しずつ積み重ねていけば、自己対話の質は、確実に変わっていく。
自分との対話の質が、人生の質を決める
最後に、第3章の出発点として、ひとつのテーゼを置いておきたい。
自分との対話の質が、人生の質を決める。
これは、大袈裟な比喩ではない。ほとんど、構造的な事実である。
人生で一番たくさん交わしていることばが、自分自身との対話なのだから、その質が、思考の質を作り、感情の質を作り、行動の質を作る。そして、思考と感情と行動の積み重ねが、人生そのものになる。
逆に言えば、人生を変えたければ、自分との対話の質を変えればいい。ただし、対話の質を変えると言っても、ことばだけを差し替えればうまくいく、というほど単純ではない。自己対話は、私たちの「意識」という大きな仕組みの中で起きている。その意識が、どんな構造で、どう動いているのかを知らないままでは、自己対話の質を本当に変えていくことは難しい。
だからこの第3章では、自己対話の土台にある「意識」というものを、ひとつずつ解きほぐしていきたい。自分との対話を、より深く、より自由に扱えるようになるために。
最初に取り上げるのは、「入力・処理・出力」という、人間の最も基本的な仕組みである。